分かってるよ、分かってる。
僕は今してはいけないことをしている。
…だけど、だけど、
美影ちゃんのいない世界でどうやって呼吸してたか思い出せない、
僕の気持ちが誰に分かる?
「…すみません、すみません、でも僕本当に行かなきゃいけないんです」
僕の顔色の悪さや過呼吸気味の姿を見て、
マネージャーは強く言えなくなり、
「…体調不良で休みとは言っておくけど、仕事が減っても文句は言えないからな」
そう言ってくれたので、
「…ありがとうございます」
と言って、急いでテレビ局を出る。
今日はマネージャーに送迎してもらっていたから車でなんて来ていない。
なかなかに遠い距離を自分の足で行くことになるけど、
美影ちゃんを連れ戻すためなら、
自分の体なんて壊れてしまって構わない。
スマホで彼女のGPSを追いながら、
その方向目掛けて走り出した。



