あれから2週間くらいが経った。



毎日、毎日、彼と過ごす日々は幸せで。



土日は早く帰ってきてくれて、


一緒に家で映画を観たり、


料理も教わったり、


彼が幸せそうに微笑むと、



私も幸せになれる人間なのだと錯覚する。





そんな感じだから、


ヒカリさんから離れようと思ってもなかなか離れられなくて。



……そもそも、本心はずっとここにいたい。


ただ、


未来で彼が結婚して、私じゃない誰かと幸せになることを、



絶対に笑顔で見ていられないだろうし、



その前に私がいらなくなって、



捨てられてしまうことも怖い。



幸せが無ければ、不幸を怖がらなくていい。




あるとき、何気なく



「私、いつこの家を出ようかなとか考えてて」


と話し始めたら、


彼は私が話すのを遮って、



「一生、出る必要無いんじゃない?」


と、完璧な笑顔で言われてしまった。




出会った日と同じ。



それも、冗談ですよね。




じゃあ、


私とヒカリさんの関係って何ですかと、聞きたい。





…それでも、弱い私はそれを聞くこともなく


「ほんとですかー!やったー」



と、今日もしっかりと笑う。








たまたまテレビで、



明日の夜の生放送にヒカリさんが出演することを知った。



すなわち、いつもより彼は遅く帰ってくる…。




明日だ。






明日、この家を出よう。









そう決意した私は、部屋にある数少ない荷物を必要最低限まとめた。



それから、これで最後になるだろうと思いながら、



ふわふわのベッドで、眠りについた…。