家に帰って、重く苦しい空気の中、
「…何で外出てたの?」
とヒカリさんに聞かれる。
私はその質問に、
「月が、見たかったんです」
嘘ではない、それを答える。
その答えにヒカリさんは「そっか」とだけ言って、
寂しそうに、そして苦しそうに、
「…でも、今日は月出てなかったね」
そう言った。
"今日は"
何気ない言葉かもしれないけれど、
…私の昨日も知られている気がしてしまった。
何も言えない私に、彼は小さく微笑んで
「…女の子が夜1人で出るなんて危ないよ」
「…あと、高いところから乗り出して美影ちゃんに死なれたら」
「僕、もうこの世に用なんて無いし」
冗談だよ、
そういうように可愛らしく肩を竦めて笑っていう彼だけど、
本気だというような、
瞳の色だけは隠し切れてなくて。
「…ふふ、そうですね、すみません!」
彼の"冗談"に合わせて、
私も、少しだけ笑いながら謝った。
…そして、ふと思ったことを聞く。
「あ、ヒカリさんは何であの時間にいたんですか?」
そんなことを。
私が何気なく聞いたそれに、
彼は一瞬止まってから、
「…仕事が早く終わったんだよ」
そう答えてからすぐに、
「美影ちゃん、時間も時間だしお風呂入ってきたら?」
とゆったりと微笑みながら言われて、
「そうですね!入ってきます」
そう答えて、お風呂場に行く。



