ちょうど、歩道橋に誰かがのぼってくる足音が聞こえてきた。
そんなことはお構いなしに、
私はどこまでいけるだろうかと、
下に手を伸ばす。
その足音は、どうやらのぼりきって止まったらしく。
すぐに、
聴き馴染みのある、声がした。
「…何やってるの」
振り返ると、
そこには、表情という色のない
ヒカリさんが、立っていた。
目が合って、
彼はすぐに私の元にやってきて、
私を後ろから抱きしめるようにして柵から離れさせた。
彼は力強く、強く抱きしめてきて。
それとは裏腹に震えた声で、
「…今、死のうとしてた?」
「やめて、絶対やめて、美影ちゃんがいない世界なんていらないよ……」
…なんで?
私のそんな質問は出来るはずもなくて、
「…すみません」
ただ、謝って。
「…一緒に帰ろう」
そう呟いた彼の、有無を言わせない言葉に頷いて、
彼に手を繋がれる。
あなたにとって、私は何ですか?
聞いてしまえば全ては終わって、
もう、そばにいられないだろうね。
そばにいたくないのにいたいなんて、
私は馬鹿だな、本当。



