アイドルな彼の愛は重すぎる。




昨日みたいに、美しく月が出ていたら良い。




そう思いながら家を出て、




昨日とはまた違う道を歩く。





夜の空気は新鮮でやっぱり気持ちがいい。




知らない道をズンズン進んで、



ちょうど、大きな道路にかかる歩道橋に差し掛かった。



なんだか、ここにのぼりたくなって。




カン…カン…、と音を立てながら歩道橋の階段をのぼっていく。



いちばん上まできて、



大道路の真上に立てて、なんだか面白かった。




…そうだ、ここから月は見えるだろうか。




キョロキョロと周りを見渡すけれど、






…あるはずの月は、重い雲で見えなかった。




いつか、ここから三日月を見てみたい。




…満月じゃなく、欠けた月を。





今日は上を見ても楽しくないし、



車の行き交う下を見ることにした。



車が放つランプたちがチカチカと光っていて、


そこに信号も彩りを加える。



眩い、道だなー。




歩道橋のヘリまでよって、


柵のようなところに手をかけて下を覗き込む。



…あぁ、私ここから落ちたら全てが終わるんだ。




生まれてから、親に愛されず。



ろくに大切な友達もいなくて、




…初めて見つけた信じたい人は、



私なんかでは釣り合わない世界の住人で。





ここから落ちて全てを終えるなんて、


そんな大勢に迷惑がかかる最期にはしないけれど。




それでも、手を伸ばしてしまう。



側から見れば、自殺しようとする人だろうな。



下に、下に、手を伸ばす私。



チカチカとランプが眩しい、下に。