私が見ていると、急にテレビが消えた。
隣を見ると、テレビのリモコンを持っているヒカリさん。
俯いているから、
彼の表情までは分からない。
「…どうしました?やっぱり見られるのは嫌だった…ですか?」
それなら申し訳ないことをしたと思っていると、
彼は私に向けたことのないような冷たい瞳で、
「大河(たいが)に見惚れてた?」
と、低く、低く響く声で聞いてくる。
「…えっと?」
とよく分からず聞き返すと、
彼は静かにテーブルにリモコンを置いて、
ゆっくりと、私の近くまで来て座り直した。
目の前に、とっても綺麗なヒカリさんの顔。
その瞳は、想像以上に冷えている。
「今出てた、僕の後輩」
「…あーいうのがタイプ?」
と聞かれて、しっかりと考える。
えっと、今出てた人たちの中でヒカリさんの後輩らしい人は、
…あ、あの黒髪チャラパーマさんか!(失礼)
そうわかった私は、
「いやいやいやいや、私あの人の名前すら知らないんですよ!」
「ヒカリさんはたくさんアイドルがいる中で1番輝いててすごいなーって思ってたら画面を凝視してたみたいで」
とちゃんと本心を言うと、
彼は、人が変わったみたいに甘く甘く微笑んで、
「そっか、なら良いや」
と言って、いつもみたいな優しい声色で返してくれる。
…どういうことだろうか。
なんで、私が他の男の人を見ると不機嫌になるんだろうか。
…分からない、分からない。
何かを期待しそうになって、
私が保てなくなる。
「…ふふ、そうですよ。」
「あ、私宿題しなきゃなので、頑張ってきますね!」
と言ってソファを立つと、
彼は「頑張って」と優しく返してくれる。
この人の考えていること、何も分からない。
だけど「愛してる」に縋りたいし、信じたいし。
でも、もう本当に分からないや。
…もう、感情はぐちゃぐちゃだ。
『…僕だけを見てて』
取り残された彼は、
彼女の後ろ姿に、願った。



