アイドルな彼の愛は重すぎる。




あぁ、信じたい。この人を信じたい。


そう思うほどに、






…離れたくなる。






1番信じていた人に捨てられた記憶が、



信じたい人を、信じられなくする。





『愛してる』って、会って1週間も経っていない人間に軽く言える言葉?



ヒカリさんが彼女と結婚するとき、


私の存在とは一体何ですか?



この人のボランティア精神が底を尽きたとき、必ず私は捨てられるんだろう。



…お母さんに捨てられたときとは違って、


人を信じてしまって、


誰かに抱きしめられて泣くあたたかさを知った、



弱く、脆い状態で。




嫌だ、嫌だ、もう







傷つきたくない。








心を開くほどに、傷は広がるから。


 



「ありがとうございますヒカリさん!」



「もう、元気です!」




ヘラリと笑う、思いのない笑顔。



心がどんどん、どんどん、


乾いていくのを感じる。



これだよ、そう。




生きることに価値すら見いださない、これだ。




私のそんな気持ちに気づいたのか気づいていないのかは分からないけれど、



彼は「そっか」とだけ言って、



微笑んだ。




「じゃあ、夜ご飯にしよっか」



そう言ってソファから立ってキッチンに向かうヒカリさんの背中に、



「やったー、ご飯だ!」


と、ヘラヘラ笑いながら言う。








『……心開いてくれたと思ってたんだけど』





キッチンに向かった先で1人、





王子は唇を噛みながら苦悩していた。