「………え?」
机に突っ伏していたのをあげて、
涙でどうしようもない顔のままに振り向くと、
そこにはすぐ近くにヒカリさんがいた。
仕事が終わってすぐなのだろう、スウェットにも着替えずに私服のままだ。
そして、彼はとんでもなく泣きそうな辛そうな表情をしている。
そのまま彼は近づいてきたかと思うと、
ゆっくりと屈んで、
静かに私を、
抱きしめた。
優しく、優しく、抱きしめてくれる。
落ち着く、甘い匂いが広がる。
「美影ちゃん、1人にしてごめんね」
「でも、僕は絶対に君を離したりしない」
「…だから、安心して今は泣いて」
そう言って、少し彼の抱きしめる腕に力がこもり、
彼の右手は控えめに、私の頭を撫でる。
その優しさが、何よりも安心できるもので。
「……私は、昔から誰にも愛されなくて」
「平然装うけど、本当はつらい……」
そんな私の叫びを、
全部全部、受け入れてくれる。
「…生きることに執着なんてしてない」
「ふりをしてるだけで、本当は愛されて生きたい……ッ」
私のいちばんの願いを叫んだとき、
これまで静かに聞いてくれていた彼は、
私の目を見つめて、言った。
「僕が、愛してる」
「僕は、ずっと君のことだけを愛して生きてきた」
「それはこれからも一生変わらない」
もしかしたら、この人は嘘を言っているかもしれない?
もしかしたら、この人は私をからかっているかもしれない?
そんなことは一切思い浮かばないくらいに彼は、
真剣な眼差しでそう言ってくれた。



