「誕生日おめでとう、美影ちゃん」
 

その手に持つお皿には、とんでもなく綺麗な造形のチョコケーキが置かれている。



…これ、前に私が食べたくて仕方なかったけど、高すぎて無論買えなかったあの超高級…。



「ヒカリさん…、嬉しすぎます」



そう言って彼を見ると、嬉しそうに微笑んでいて、


「他に欲しいものあったら何でも言って?」


「僕の全財産使い切るまでは買ってあげられるから」



…そんなそんな。


「あ、でも待って。先に髪乾かそう?美影ちゃんが風邪引いちゃう」


そう言ってチョコケーキを急いで冷蔵庫にしまいに行った彼は、


隣の部屋からドライヤーを持ってきて、


「おいで?」


と、ソファに腰掛け、その間をポンポンと叩いて呼ばれる。


「いや、私自分で乾かせるんで!」



と必死に言っても、



「人に乾かしてもらうのも、気持ちイイよ?」


そう言って妖艶に微笑まれ、グイッと腕を掴まれたかと思うと、



スッポリと彼に包まれてしまった。



刹那、温風が髪を包んで、


細くしなやかな彼の手で優しく乾かされる。



…普通居候にここまで手厚いサービスする人いますかね?



「…美影ちゃん、乾いたよ」



そう言われたときにほぼ寝ていて、


起きた瞬間顔面ドアップヒカリさんは


顔が綺麗過ぎてびっくりした。