「はあ…。」
コーラルスカイ王国の王子であるジャックは大きなため息をつく。
「ねえ」
その時、急に声がした。
恐る恐る声の主を振り返ると…。

「こんにちは、あなた、悩み事?」

「に、人魚か…。なんだ。俺になんの用だ?」

「さすがは王子。勇敢ね。でも私、あなたを助けにきたのよ?」

「何が」

「何って、あなたさっきため息ついてたじゃないの。そこでね、いい知らせよ」

「なんだよ」

「アリーダ様にお願い、かなえてもらえば?」

「いい。代償を払わなければいけないんだろ?断る。」

「代償を聞いてから、お願いを叶えてもらうか決められるのよ?それでも?」

「…断る」

「もったいなーい。あなたは選ばれたのに。」

「王子だからか?」

「違うわよ。そんなわけないでしょ?それで、どうするの?断るなら他の人のお願いを叶えるけど」

「……。わかった、代償を聞くだけ、だぞ」

「そうこなくっちゃ!ついてきて。」

人魚は海に潜っていった。
「なんだよ…。でも一か八かかけるしかないな」

ジャックも慌てて後を追った。