浅葱色の約束。─番外編─





こいつは本当に馬鹿だ。


近藤さん、あんたの娘な、前はいい女になったと言っちまったけどよ。

こいつ酒飲むとこんな簡単に本心出るぞ。


俺たちは無理させてたのか───…?


いや、俺の愛情が足りなかったか?

それともまだ、こいつの中に何かあると言うのか。


俺に後ろめたい何かが。



「土方さん病が…、土方さん病……、再発した……っ」



ただ俺は、わけ分からねえこと言って泣いてるこの女が。

俺の前でしか見せない顔をするようになったこの女が。


───…愛しいとも思っちまう。



「もうやだよ土方さん、わたし、土方さんと居ると苦しい…っ」


「土方さんのことばっかなの…、頭バカになっちゃってる…っ」


「息、出来ないの…、死んじゃう…!」



とりあえず俺は梓を抱きかかえて風呂場へ向かった。


湯はまだ冷めてはいないが熱くもない、丁度いい頃合いだろう。

出来ればもっと冷たいくらいを求めていたが、まぁいい。



「歯ぁ食いしばれよ」


「なっなにす───…っ!」



ザッバーーーーンッ!!!


湯槽の中にそいつを落とす。

容赦なく、落とす。