浅葱色の約束。─番外編─





俺はこういう女は嫌いだ。
何故、何故って理由ばっか聞きやがる。

俺がここに居ててめえと暮らしてる、それが答えだろと言ってもわかりゃしないのだ。


ただ、こいつは別。


言葉が欲しいんだろう。

今まで普通ならもらえるはずの言葉をもらえなかったから。


それでも梓は今でも俺に嫌われないよう、びくびくする節がある。



「───…しようよ…土方さん」



俺の着物の帯へ伸びる、細い手。



「土方さんが我慢してること、ぜんぶしよう」



俺は積極的な女は嫌いじゃない。
だが、てめえにはそれを求めちゃいない。

無理してんのはどっちだっつう話だ。

お前が知らねえことたくさんあるんだぞ。



「痛ぇぞ」


「え……痛いの…?」



ほれみろ、無理してんじゃねえか。

覚悟も出来てねえくせ、一丁前なことしようとしてんじゃねえよ。



「つうかお前、ガキの作り方すら知らなかったくせに知識あんのか」


「…だ、大丈夫だよ。しよう土方さん」



震えながらも先へ続けようとする梓。



「───やめろ。」



冷めた俺の声に、帯をほどく手が止まった。