浅葱色の約束。─番外編─

土方side




棚の奥、私物が入っている引き出しに1つの貝殻がある。

これは俺が買ったものだった。



『髪、伸ばさねえのか』



それは俺が指揮官だった頃。

短い髪に触れながらそいつは『ずっと男のふりしていたから考えたことなかった』と、哀しげに笑った。


その翌日だったか、この紅を買ったのは。


いつか必ず渡そうと。

渡せなかったとしても、これが俺からあいつへの気持ちだった。



「…意味ねえな、こんなモン」



本当はこの20歳の誕生日にあいつに渡すつもりだった。

そうして帰った俺の前に、あいつは他の野郎からもらった紅を付けて照れたように微笑みやがる。


俺は「似合ってない」と、つい言った。


本当はそんなこと無かった。

どんどん大人の女になっていくお前に、俺の方が追いつけないんじゃないかと思っているくらいだ。