夕暮れ空の下、買い物カゴを持った土方さんはもう片方の手で私の手を握る。

川のせせらぎの聞こえる小道は、かつて彼が蝦夷から私の元へ再び現れたそんな道。



「ここは京より涼しくていいな」


「うん。海があるからかな…」



あれから半年が経って、私は20歳になろうとしていた。

それでもあのときの出来事ほど感動し、心動いた瞬間は無かった。



『───…俺はお前を愛している。』


『俺の家族になってください』



そんな愛の告白とも呼べる言葉をもらって、気付いたら夫婦になっていたなんて。


正直信じられない。

誰が信じるというのか。



「まぁその分、冬は寒いんだがな」


「海が…あるからかな」


「ふっ、それしか言ってねえじゃねえか」



だってこの人は土方 歳三だ。


戦場を駆け抜けた新撰組副長なのだ。

今は着流しを着ているけど、それでもやっぱりなんでも似合ってしまう。


すごく、すごく……



「───…かっこいい…」