沖田さんからよく聞いていた斎藤さんの話では。
彼はいつもどんなときも、勘違いされやすい人だと言っていた。
『話してみれば本当は面白い人なんだけどね』
あまり気持ちを言わないから、勝手な言い分を肩書きにされてしまう人。
だけど本人は何よりも強く忠誠心の塊だから、気にもしないんだって。
そしてこんなにも優しい人だということ。
「覚えているか、梓。チュン助という雀が居ただろう」
「…うん」
「女中が留守にしていたとき、チュン助の食事を一緒に作ったことがあったな」
“チュン助”とは、怪我をしていた雀だった。
私が助けて屯所に持ち帰って、山崎 丞の手によって復活を遂げた1羽の雀。
「お前は幼子でもないが、知らないことだらけで赤子のような奴だと思っていた」
「……赤子…」
「だが、そんな純粋さが俺は嫌いじゃなかった。そんな雀が……羽ばたいたんだな」
もしかしたら、あのときの1羽の雀は私なのかもしれないと。
片足を鷹につつかれて道端に倒れていた弱々しい雀。
羽ばたこうとしても飛べなかった、雀。
それは私なんじゃないかって、記憶を甦らせた───。



