浅葱色の約束。─番外編─





翌日は雨だったのが嘘みたいに快晴。

溜まった洗濯物が干せそうだと、見上げた空はキラッと光った。



「お爺さん、脚悪いんじゃなかったの…?」



土方さんの恐怖と全てに敗北したお爺さんは、太陽が昇ると逃げるように山を下って行った。

普通に走ってる…全然ピンピンしてる…。



「ったく、ろくな男に好かれねえなお前も」


「そんなことないよ。だって土方さんは…最上層だから」



それより昨日のことを思い出すと今も恥ずかしい。

あんなに甘い声で名前を呼ばれたのはもちろんだけど、なにより一番は「夫婦の夜」「お楽しみ」というワードだ。


あの言葉がずっと頭を離れてはくれない。



「…歳三だっつってんだろう。昨日呼べてたじゃねえか」


「と、としぞう…さん」



もう“土方さん病”は完全にどこかへ消えてしまったらしい。


女の子達の手紙だって、読んでいないのも知ってる。

私が少し瞳を伏せれば一番に気にしてくれるのも知ってる。



「…ヤキモチとか、妬いた…?」


「…あれ相手に妬くわけねえだろ。どう考えても俺の圧勝だ」