置かれてる立場わかってんのか───?と、土方さんが低い声で放てばお爺さんは言葉を無くした。
すると私の腕をグイッと引かれる。
「わっ…!」
ぐっと腰を引き寄せられるように腕で支えられて、さっきの情景がぶわぁっと浮かんだ。
あのままお爺さんが来なかったら今頃───…。
「よくも夫婦の夜を邪魔してくれたな。これからお楽しみだったってのに」
唇の端を上げ、悪戯に笑った格好いい人。
夫婦の夜…、ふうふの…よる……。
お楽しみ……お楽しみって…。
「よく見とけクソジジイ」
抱き寄せられた耳元で「梓」と、甘い声で名前を呼ばれる。
「っ、」
低く、乱暴な声。
若干かすれていて、優しくてとろけてしまいそうな声。
「お前が惚れてんのは誰だ?」
「…とし……ぞう…、さん…」
それだけだ、たったそれだけで顔は沸騰状態。
もう土方さんしか見えない構図は完成されてしまう。
「こいつをこんな顔に出来るのは俺しか居ねえんだよ」
「かっこ…いい……」
ボンッ!!と、案の定爆発した。
そのままポスッと倒れ込んだ大好きな腕の中。
満足そうな彼の顔を最後に、そっと目を閉じる。



