そして再び居間へと腰を下ろし、同じように膝へ乗せられた。



「やべえ…2人分抱えてると思うと震える」



その人はどこかまた新しい覚悟を決めた男の人の顔で。

その震える手を、私もまた包み込む。



「大丈夫、もう1人で抱えなくていいんだよ。…今度は私も一緒に“土方さん”を支えたい」



いつも全てをたった1人で背負ってしまう人。

弱さなど見せない人。

だからあなたの弱さはどこにあるんだろうって、いつも思っていた。


でも、今。


やっと見れた気がする。

それはまだほんの少しかもしれないとしても、それだけでも嬉しい。



「…お前格好良すぎだろ、惚れるわ。いやもう惚れてた」


「ふふっ、今日の歳三さんちょっと変」


「当たり前だ。俺だってこんなの初めてなんだよ」


「…私のこと息子って平気で言ってたのに」


「それは言うな、忘れろ」



こんなにもあったかくて優しい時間を、私は一生忘れることはないんだろう。


男の子かな?女の子かな?


あなたに似るといいなぁ、なんて言えば。

お前に似て欲しい、と返ってくる。



「明日から出かけるときは俺も一緒に行く。あんま色々無理すんじゃねえぞ」


「大丈夫だよ、1人で行けるから」


「駄目だ。昔からお前が大丈夫っつうときは必ず何かあんだよ」


「もう…、昔から心配性だよ」


「…お前限定だがな」



2つの命を抱き締めるその腕は。


なによりも強く、優しく、温かかった───。