「だ、誰と誰の…子供が…、入ってるの…」
「俺とお前に決まってんじゃねえか」
乱暴な口調は今まで聞いたことの無いくらいに優しい。
「なんで他夫婦の子を授かってんだよ」
笑った瞳は揺れていた。
夕暮れの赤色が染まる勝手場にて、ペタリと座り込む私。
しゃがむようにして目線を合わせてくる土方さん。
「…俺も触っていいか」
「うん…」
暖かくて大好きな掌も同じように重なった。
まだ音も聞こえていない。
本当に赤ちゃんが居るのかも分からない。
それなのに、どんなものより温かいから。
「ここに、居る…気がする、もう1人…」
「…あぁ。俺もそう思う」
この人との───…子供。
あのとき一緒に抱えた赤子が、今度は血の繋がった子に変わる。
私の涙を彼は優しく拭った。
「掴まってろ」
「わ、」
そのまま腕を首に回させると、優しく抱きかかえる。
今までこの人には何度も抱えられたり担がれたりしてきたのに。
こんなにも暖かな愛情しか無いものは初めてだった。



