「天気が良いものね」


「はい。とても」


「良かったら私もご一緒しようかしら」



誰が誘ったっつうんだよ。

この女は多分、今まで断られたことが無いんだろう。

だから自分が全てだと思い込んでやがる。


全く厄介な野郎だ。



「行くぞ、梓」



相手にするだけ無駄だ。

そう思い、梓に声をかけてみても返事は無い。

それどころか動く気配すらない。



「それは肯定と受け取ってもいいのね?」



さあ行きましょう土方さん───。


女はキツい匂いを放ちながら、俺の腕を組もうとする───が。

それよりも先にしがみつくように絡ませたのは梓だった。



「だめ…っ」


「なによ、ケチ」



女同士の独特な空気感が始まろうとしている。

男ばかりの場所で男として育った梓が一番に苦手とするもの。



「と、歳三さんは私の夫なので…!」


「わかっているわそんなこと」


「もう金輪際関わらないでください…っ、近付くのも、駄目です」


「あなたかなり独占欲強いのね。嫌われるわよ、そういう女は」