「ふざけんなよてめえ。俺に他の女抱けってのか」
「そ、そこまでは言ってない…」
「じゃあなんだ?下手な誤魔化しは通用しねえからな」
どうしてかこんな状況の元、また彼の鬼が顔を出した。
気付けば背中は床にぴったりくっ付いて、見下ろしてくる鋭い瞳。
怖いやつだ…。
これはかなり怒っているやつだ。
「だ、だって今後もいっぱい女の人寄ってくるだろうし…、それで断ってたらいつか恨み買って斬られちゃうよ…っ」
「斬られるわけねえだろ。誰に言ってんだお前は」
「土方さん意外と寂しがり屋さんだから、だって私……もう消えちゃうからっ!!」
珍しく出た大きな声に、土方さんも言葉をぐっと飲み込んだ。
消えたら私のことは忘れちゃうのかな…とか。
存在自体が消えちゃうから。
土方さんはずっとここで1人で暮らしていた人って認識に変わっちゃうの…とか。
恐怖に止まりかけていた涙が思い出したように溢れてきた。
「ずっと忘れてたの…、ここにずっと居れると思ってた…っ」
それくらいに幸せすぎたから、これからもこの時代で成長していくんだって。
そうだったらいいなぁって願望が現実だと思い込んでしまっていた。



