「歳三さん泣いてるの…?」


「…放っとけ」


「ふふっ」



いつの間にか器用に呼び方を使い分けれるようになりやがって。

それにお前は相変わらず真っ直ぐだ。


お前は飾らないから、着飾ろうとしたってそのやり方すらわからねえような奴だから。

俺の欲しい場所を屈託なく突いてくるのだ。


きっとこれが、俺のずっと求めていた“愛情”なんだろう。



「俺を泣かせてきやがるのはてめえくらいだ。…勘弁しろ」


「うんっ」


「…なんで嬉しそうなんだよ」



それでいて、こうして震える手を暖かい掌で包み込んでくれる。


やっぱり勝てねえ。

俺の負けだ、完敗だ。



「でも土方さんが最後に選んだのが私っていうのが申し訳ないけど…」


「おう、そりゃ俺に謝れ。俺ぁ特上を手にしたつもりなんだがな」


「……土方さんすごい…、さっきの盃だけで酔っちゃったんだ…」


「…かもな」



本当は微塵も酔ってはねえが、こういう時くらい酒のせいにしたっていいだろう。

じゃなきゃこいつは顔を赤くさせてそれどころじゃなくなるだろうから。



「あっ!流れ星…!!歳三さん流れぼ───」



夜空に1つ流れた光に続くように、キラキラ瞬く流星群。


そんなものよりも目の前にいる何よりも眩しい存在へ、俺はそっと唇を合わせた。