「また町の女に何か言われたのか?」
「ううん、」
本当はやっぱりまだヒソヒソと噂立てはされてしまっている。
「あの人が土方さんの奥さんなの?」と、言われたり。
「いつまで続くのかしらねぇ」と、鼻で笑うように見つめられたり。
それでも今日気にしていることはまた少し違った。
「それにお前、帰ってから1度も俺の目を見ようともしねえ」
土方さんは子供っぽくなった。
それでも私の事情を知らない彼は、覗き込むように心配した瞳で見つめてくれる。
「お前の様子だと悪いことでは無さそうなんだがな」
「う、うん…」
言ってもいいのかな…。
でもそれって形にしないと信じれないって思ってると言われちゃわない…?
言葉があれば十分なのに。
「あ、あのね土方さん…」
「ん?」
「今日、近所の人にね……しゅ…、しゅう……」
「しゅう…?」
1つ1つ頑張って繋げる私を優しい眼差しで聞こうとしてくれている。
言葉で伝えることが苦手だったからこそ、土方さんは微笑んでくれているのだ。



