にびいろのなかのひかり 鈍色の中の光


最後のお客さんが帰った



「1週間長かったー
優香に会いたかった…」



「…」



私も…って

いつもみたいに言ってよ



「1週間たって、落ち着いた?
あ、オレ皿洗おうか…」


腕まくりして

カウンターに入ろうとしたら



「私ひとりでやるから…大丈夫」

優香が言った



え…

なんで?



「でも、ふたりでやれば早く…」



「んーん
ここから入らないで…
私のお店だから…
ホントはひとりでやりたかったから…」



いつもみたいに

優しい口調だけど

胸がズキッてした



オレは仕方なくカウンターのイスに座った



「…オレ、1週間
毎日優香のこと考えてたけど…

ただ
会いたい…って

毎日、思った…

きっと優香も
同じこと思ってくれてるかな…って…」



「…私達、初めて会った日から
明日でちょうど半年だよ

ここがオープンする前の日だったから
覚えてる

付き合ってからは
まだ、数ヶ月だよ

何年とかじゃなくて
半年もたってなくて…」



「だから…?」



「だから…

まだ、忘れられるよ…

きっと、会わなくなれば
すぐ忘れるよ…」



「え…?何言ってんの…優香」



別れ話…?



「1週間じゃ忘れられなかったけど
1ヶ月…2ヶ月…半年…

会った日から同じぐらい経てば
きっとお互い
すっかり忘れてると思う…

だから
まだ間に合うよ
縁談…

きっとそっちの方が…」



「何言ってんの…!」



オレは立ち上がって優香の近くに行こうとした



「ダメ!
そこから入らないで…」



「なんで?」



「ひとりでやりたいから…
全部、ひとりでやりたいから」



「わかった…それは、わかった…

ただ…抱きしめたい…
だから、優香の隣にいかせて…

それは、ひとりでできないから…」



「…ダメ…
そしたら…
また、忘れられなくなる…」



「なんで?
忘れる必要ある?
だって、オレ優香がいいのに…
優香は?
優香だって…」



「私は…
そんなに、好きじゃなかったのかも…

最初から…そんなに…」



カウンター越しに優香の手を掴んだ



「いつも、私も…って言ってくれてたじゃん

オレに気使って言ってくれてた?

遠慮とか、しなかったじゃん…優香…

会いたかったら、会いたいって
言ってくれてたじゃん…

オレ、優香が好きだよ

まだ数ヶ月かもしれないけど
真剣にこの数ヶ月付き合ってきたし

1週間も会わない時なんてなかったから
会いたくて仕方なかった

優香のこと、好きだって
本当に実感できた1週間だった

私も…って、言ってよ
いつもみたいに…言ってよ…」



優香は

黙って首を横に振った




掴んでた優香の手を引き寄せた



ーーー



カウンター越しにキスした



優香がすぐにオレの手を振り切った



「…会ってみなよ…

私たち…
…1ヶ月、会わないでみよ

そしたら、きっと…気持ち落ち着くよ…」




優香の声は冷静で


冷めてた