カホは、俺の手を握って階段を並んで降りる。
「私が、そうちゃんを幸せにしてあげる。」
とにこにこと笑って空を仰ぐ。
俺は、アハハと笑って、
「そりゃ、いいな。神だのみじゃなくて、カホ頼み。」

「あ、でもさ。」
ずいっと、カホは顔を近づけて厳しい顔をする。
「な、なに?」
「そういえば前に話した事もあったけど、結婚したら、風俗とキャバクラは禁止です。 残念ながら、もう今後高岡さんは巨乳をこの手で揉みしだく事は、一生ないんですね。」
「……………。」
「 高岡さんの芸のネタ帳がごっそり一冊無くなっちゃうよ。 やっぱりやめておく?」
「なんだ。そんな事か。 」
「そんな事?」
「実は、もう俺の巨乳ブームはとっくに終わっているのだ。」
「へえ、今は?」
「微乳大学の第一人者 高岡教授であります。 なんかこうねー、手のひらにちょうど収まるくらいっつのが、もうねー、なんというかたまらんっすよ。永遠の研究テーマであります。」
とその俺の手つきにカホはムッとしてプイッとする。
「失礼な。なんかムカつく。」
怒った顔もかわいい。
「今晩も研究に余念がありません。」
「ばか」
「はい、すんません。」
「それに、自由気ままなんていられないんだよ。私、すごーく嫉妬深いよ。浮気したら、藁人形するよ。」
俺は震え上がって
「おお、怖え。って、アホか。俺は結構一途で、忠犬ハチ公みたいなんだぞ。」
カホは、ケラケラと笑う。
「でも、結婚したら高岡ぜえんぜんおもしろくない!って世の男子から嫌われそう。」
「それは実に恐れていた事だ。」
「どうする?人気ダダ下がっちゃったら。」
「え、だって、カホが幸せにしてくれるんだろ? 俺、ヒマになったら完璧主夫やるわ。」
「すご!ちょっとしたクズ発言。」
「え、ダメ?」
「いいよ。」
「マジか!? マジ神だな。」