ゆく年来る年を観ながら、もう10年近く全力疾走で正月休みもなく働いてたなと思う。
こんな風にゆっくりできたのは、久しぶりで、おまけにカホと一緒にいるなんて夢みたいだ。

さっき、決心した事を、なんて言うべきかまた俺はうだうだと考え始める。
二番手の東京の男でもいいから俺と付き合ってくれとでも言うのか?
そんな都合良く俺の気持ちが整理できるとは到底思えない。 ますます独占欲にかられ、幼馴染の男に嫉妬して、ますます卑屈になって、愛想尽かされてってのがオチだろう。

潔く振られて、いっそのこともうご近所でなくなるためにも、引っ越してすっぱりと諦めるのか。


いやだと言われても、無理矢理押し倒してヤッてしまうのか。 俺なしではいられない身体にしてやろうか。って、自信満々だな。ま、非現実的だな。
彼女の気持ちを無視して、押し通すことなんて俺にはできない。

ダメならやっぱり今までどおり友だちのようなアニキのような存在でいさせてくれとでも言うのか?

この微妙な関係を終わらすのも、また、ためらってしまう。
でも、いつまでもこんな風にいられるわけがない。
いつか、どっかの誰かとカホは結婚するかもしれない。俺は兄貴らしくおめでとうって言えるのか?

俺はため息をついて、首を振る。
ああ、もっかい風呂入ってこよう。
どこまでも臆病な俺は、自分の中でいつまでたってもその決心は行ったり来たりするだけだった。

干していたタオルをひょいっととって、俺は部屋を出た。