パーティーは盛況で、でも結局はカホと話すキッカケもつかめず、おひらきになってしまった。
親しくなるチャンスだったかもしれないのに、意外と俺はこういうところはおしとやか過ぎるんだ。
で、後からこうすれば良かったああすれば良かったとくよくよ悩む。
まあ、結局はこういうフラストレーションから、コントのネタが生まれたりするんだけどな。
そこそこ売れっ子になったって、俺の本質は変わっていない。
華やかにみえて、遊び歩いて呑んだくれているようでいて、ずーっと前から俺自身は何も変わっちゃいないんだ。

この後、二軒目も行こうと若手のスタッフから誘われるが、明日早朝のロケがあると言って断り、これでみんなで楽しく呑んでと万札を数枚渡して去る。
らしくないと言われたが、なんとなく気乗りがしなかった。
多分、そのままのいつもの流れで、キャバクラに行き、ノリで風俗に繰り出すコースになりかねない。

どうしても、今夜はそんな気になれない。
だってさ、今日のカホはまた一段とかわいかった。
普段は、仕事でデニムやパンツをスタイリッシュに着こなしてがいるが、今日のパーティーは黒のシックな麻のワンピースに大ぶりのゴールドのピアスをつけていた。
ワンピのカットが少しオシャレで、後ろの背中が大きめにあいていて、俺はそのカホのショートボブの襟足からうなじ、少し見える白い背中に完全にやられてしまった。

ド派手なキラキラしたキャバ嬢のドレスに上書きされちゃあもったいない。
せっかく目に焼き付けておいたんだからさ。