番組は順調に視聴率を伸ばし、現場も良い雰囲気だ。
これが、ウケなかったりすると現場のスタッフの士気も下がるし、雰囲気も最悪になる。
いくら人気者の俺たちでも、番組の動向には相当気を使うものだった。

月間視聴率が良いと、局から報奨金が出る。
そのカネで、だいたい中入りといってプロデューサー陣がパーティーを企画し、スタッフの懇親を図る。
とはいえ、まあ仕事だよね。

俺たちコンビは常に盛り上げ役で、スタッフ全員が気持ちよく楽しく仕事をしてもらうためにも楽しい会にしなければならない使命がある。

スタイリスト陣ももちろん出席している。
番組撮影中も、たまにカホがスタジオの横で、俺たちのやり取りを見て大爆笑してくれるのを見るともっと笑わせたくなるし、今日のパーティーも常に目の端っこではカホを追い、調子こいたトークでなんとか気を引こうとする俺がいる。

それに、やっぱりカホにも、いや他のスタッフにも楽しいと思ってもらえるような現場にしたい。
で、できればファッションに行きたいとは思うけど、テレビの現場も捨てがたいと思ってくれるくらいになるといい。


そのサービス精神で、道化になる。
「高岡くんは、おもしろい」
学生時代は、ずーっとそんな風に言われ続け、生まれてこのかたロクな恋愛しかした事がない。

いつもいつも好きな女の子は、隣にいる見た目の良い奴に持って行かれる。
仲良くなって、良い感じかなと思って、思い切って告白してみれば、だいたい「友だちだと思っていた。」「友だちとしか思えない。」
「高岡君じゃなくて、高岡君の仲良しの彼の方が気になってた。」

そして、芸人になって売れない頃は、ブサイクな道化に加えて金もないから女なんか寄り付かない。
売れ始めたら、今度はことごとくつけ込まれていいように利用されるか騙されるか。
いつも二番手三番手のキープされる男。
それでもやらしてくれるなら、まだいいか。。。なんて変に自分で納得していたりして。
だから期待はしていない。俺の人生なんか、結局芸能人になって有名になったって、そんなもんだと思っている。