「昨日、毛布かけてくれたんですか?」
「うん。」
カホは、顔を赤くして
「ごめんなさい。すっかり気持ちよくなっちゃって。」
「まあ、いいよ。」
「ホントに、ごめんなさい。楽しくって、飲みすぎちゃいました。。。」
と、しゅんとして落ち込むカホ。
「………まあ、気にしなくていいけど。お酒飲んで寝ちゃうとかよくあるの? 」
「いや、そんなにはないです。」
「そんなには? …………あのさあ、一応男の一人暮らしの家だからね。いくらなんでも無防備すぎ。こういう事頻繁にあったら危ないだろ。」
てか、最初、それを狙ってたのは俺だろ。
「気を付けます。」
しゅんとなって反省しているカホ。
「意外と酒強いのはわかったけど、それに過信しちゃダメだからな。」
あ、ヤバい。おっさんじみた説教してる自分がいる。
「ごめんなさい。」
ひどく落ち込んでいる。
本当に大丈夫かよ。 マジで、心配になるじゃないか。このギョーカイ、ホントに鬼畜な男はごまんといるからな。
俺の心配気な顔に気がついたのか、慌ててカホは弁明する。
「違うの!普段はちゃんと気を付けてますよ。 でも、なんていうか昨日はすごく楽しかったし、高岡さんは安心だし。」
ほら、ビンゴ! やっぱり俺を信頼しきってるんだな。
「俺が安心だって? ンなわけねーだろ。」
そう、言ってみる。
「 だって高岡さんは巨乳のお姉ちゃんが好みでしょう? あと熟女?いつもラジオで言ってるじゃないですか。」
俺は苦笑する。 一番聴かれたくない人に聴かれてんな、ゲスい下ネタばっかのラジオ。
「歳だって離れているし、今だって、娘に注意するお父さんみたいじゃない。」
「お、お父さん? せめて兄貴くらいにしてくれ。」
俺は本気で凹む。
やっぱりカホにとって、俺の立ち位置はそんな感じなんだな。
歳の離れた近所のさみしいおっさん。 まあ、懐いてくれてるだけ、神に感謝しろってか。
「お兄ちゃん!私お兄ちゃん欲しかったんですよー。」
カホはニコニコして俺の入れたカフェオレを美味しそうに一口飲んだ。
俺はやれやれとため息をつき、目をそらす。
完全に信用されてるぞ。
敗北感を感じずにはいられない。


