《続々》俺様幼馴染の溺愛包囲網(出産♡子育て編)

「入院される日だったと思います。

深刻な顔をして、医局長と話をしていたのを覚えています。
それから、藤田先生は出て行って、医局長からその場にいた医局員全員に、告げられました。

藤田先生の奥様がここの産科に転院してくる。
早期破水で危険な状況だ。
落ち着くまで、藤田先生の仕事は皆んなでフォローしてほしい…と。

その場にいたほとんどの先生が、予定日を知ってました。
藤田先生、みんなに言ってたから。

逆算すると、30週くらいだということも。
だから、この破水は絶対止めないといけないこと。
万が一生まれた時は万全の態勢で赤ちゃんを助けないといけないこと。
危険な状態にあることが容易に理解出来ました。」

「……30週だったんだ…。
1000gを超してたら、育つだろうけど、NICUに長いこと入院になるね。
それでも、自発呼吸が出来るかどうか……。
少しでも長く、お腹に止まっていてくれるのが一番安全だ。
もちろん母体の状態にもよるけど…。」

廣澤くん…。

あの時は何が起きたのかわからなかった。
特別、何かをしていたわけではない。
無理もしていなかった。

でも気づいたら、水が漏れていた。
量が少なかったから最初は尿漏れなのかと思ったけど、明らかに違うことを認めざるを得なかった。

不安だったし、自分を責めた。
何か自分に非があったんじゃないかと…。

通い慣れた産院を移るのも、不安があった。

でも、行き先は亮平のいる病院。
それだけが救いだった。

私の精神の拠り所。
亮平が近くにいると思えば、耐えられる。
そう思って救急車に乗り、搬送された。