そう、天宮さんはヤンデレというものだ。ヤンデレは数あるデレの中で一番面倒くさいだろう。ヤンデレ小説の多くは殺されたり監禁されたりバッドエンドだし。しかし、私にはヤンデレに対抗する武器となるものがある。

「もしも私を包丁で傷つけた場合、天宮さんは殺人未遂罪や傷害罪に問われる。五年以上の懲役になるから私に会えなくなる。それでも構わない?」

「……ッダメ!!雪と結婚するんだもん!!雪と離れ離れになるのはヤダ!!」

この人、本当に成人済みなのか?涙で目を潤ませながら天宮さんは私を見つめる。私は天宮さんを抱き締め、「料理手伝うよ」と言った。

私は将来、裁判官になることを夢見ている。そのため大学では法律を勉強している。これがヤンデレ彼氏の天宮さんに使えるとは、付き合い始めた頃は想像もしていなかった。

二人で料理をしている時、天宮さんはもう普通に戻っていた。ヤンデレだとは誰も気付かないだろう。

「はい、あ〜ん」