『ぬ?じゃ、ねーしっ危機感もてコッコ』
『?』
『お前は“野良”なんだから、って、うっかり忘れてた俺も危機感ねぇけどさ』
駐車場で気づくべきだったわ、と頭を抱えるお兄
告げられた“野良”という言葉に、首を傾げた。
『野良、って私の事なの?』
『おまっ、お前なぁ自分の通り名くらい把握しとけよ』
『‥‥とおりな?』
そう言えば、私が夜、やたら散歩をしていた時期
もっと詳しく言うなら、お兄が私を拾ってくれた後の数週間、
夜の外出が多かった私を、
誰かがそう呼んでいた。当時はあんまり気にしてなくて、聞き流してたけど。
私の通り名が‥‥野良
人違いかな、くらいの認識。でも決まって夜は、そう呼ばれていた。
『野良の外見は短髪に淡い紫がかった髪、あと黄金色の瞳。ってのが、上げられててな』
『ふむふむ』
『つまり、当時のお前。コッコ、だろ』