窓から見える、流れる景色を眺め。

気付いたら寝ていた私、



そんな私を起こしたのは、苦笑いのお兄の声。

『コッコ、着いたぞ』

『‥‥ん、ふぁっ』

重い瞼を擦り、欠伸を零す。

まだ寝てたいなぁ、なんて思いながら辺りを見渡すと既に駐車場。

外に設けている駐車場スペースではなく、屋根付きの立体型駐車場。夏は有り難いよね



だって外に出してたら車、無料のサウナ室みたくなるんだもん。

すぐにクーラーがきけばいいけど、

さっきも言った通り、節約してるから。車は中古



あ、でもすっごいボロいとかはないよ?

走行距離は多かったらしいけど。前の年に出た車らしくて、買い取り手が見つからなかったらしく

お兄が買う、って言ったら安くしてくれたんだよね



ま、まさか‥‥事故車じゃない、よね


『ここって、ショッピングモール?』

『そ。コッコ家着しか持ってないし』

『持ってるもん』

『ジャージやスウェットは私服に入りませーん』




立体駐車場から少し離れた所、

歩きながら、そんな会話をし自動ドアを潜る。一歩、足を踏み入れれば、さっきより涼しい室内。

あ、エレベーター発見っ


嬉しくなって、軽く早足でエレベーターに近付いた。

お兄はそんな私を見て『転ぶなよー』と、声を掛けてくれて、

『ふぅにぃ早くはやくっ』



その場で足踏みをする私。

久し振りに来たなぁ、ショッピングモールっ

お買い物もいつぶりだっけ?ふふっ、お兄と今日はデートだ!いっぱいハーゲンダッ○たべよっと


緩む顔をそのままに、お兄を見ると。

ゆっくりした足取りでこっちにくるお兄。

歩く度にさらりと揺れる栗色の髪、

時折覗く二つのピアス、



そして、整った顔。