先生へ、子守唄を。




夕飯が出来たからとお母さんが呼びに来てくれたので、リビングに行く。

いつもはゆっくりとテレビを観ながら食べるが、今日は一切目もくれず、急いで箸を動かした。

その甲斐があって、十分程度で完食する事が出来た。


「ご馳走様でした! 今日は、後片付けお願いしちゃダメ?」


「良いわよ、楽しんで来なさい」


笑顔でそう促してくれたお母さんにお礼を言い、すぐに自室に駆け込み、スマホを手に取った。

LINEを開いた途端、着信音がなった。

先生からだ。


『今、家に着いたよ。お待たせ』


時計を見ると、もう夜の九時を過ぎていた。

こんなに遅くまで仕事を頑張っていたのか。


『お疲れ様です、先生』


最初の方は、クラスの様子など他愛の無い話を続けていった。

早く聞きたい事を聞かないと、ただ長々と先生の時間を奪っていては申し訳ない。

そういえば、と軽い感じで切り出した。

一瞬で空気が重くなっては後の会話が続かないので、慎重に。


『先生は、誰かが傍にいたら眠れるんですよね?』


『誰かっていうか、まあ、大切な人かな? 失いたくない人とか』


『声を聞くだけではどうですか? 例えば、家族や友人に電話してみるとか』