先生へ、子守唄を。




心を落ち着かせて先生を観てみる。

冷や汗も凄く、これでよく生きているなというくらい、死にそうな顔をしていた。



「先生! 先生しっかりして下さい!!」



「っ、お願い、行かないで!! 辛い、嫌だ、 眠たい、怖いよ……」


ああ、こっちの頭が痛くなってきた。

上手く働かない頭で、必死に考える。

その間にも、先生は眠たい、怖い、寝たくないと異常な程震えながら叫んでいる。

救急車を呼ぼうにも、スマホは鞄の中で、先生が私を掴んで離してくれないから動けない。

まずはどうにかして、先生を落ち着かせないと。

ある考えが思い浮かび、彼の背中を擦りながら話しかけた。



「先生……もしかして、寝るのが怖いんですか?」


マジックで塗った様な程、くっきり浮かんでる隈だ。

もしかしたら、寝不足が原因かも。

大きく縦に首を振る先生。

そしてまた、彼は同じような苦言を吐き続けた。



「先生、大丈夫です。大丈夫、私ならここにいます」



「あ……新堂、さん? ちゃんと、いるのか。どこへも……」



「行きません。私は、ちゃんとここにいます」



優しく、先生の頬に触れた。

それで安心出来たのか、力が抜けるように、先生は眠りに落ちた。

全く、私が手伝いを引き受けていて良かった。

一人ではもっと大変な事になってただろう。

だからと言って、他の人間がこんな風に九重先生に寄り添ってるのは、なぜか腹立たしい。