先生へ、子守唄を。




「あの、大丈夫ですか? えっと、暑いですか?飲み物、良かったらどうぞ」


脱水症状になっているのかもしれない。

最近は気温が上がってきたからといって、お茶を二本持ってきていた甲斐があった。

鞄から、まだ口を付けていない方のペットボトルを取り出した。

キャップを外し、身体を丸くしている九重先生に手渡す。



「ああ、ありがとう」



勢い良くお茶を飲む先生を横目に、ふと思い出した。

そういえば、さっき私は、咄嗟に先生を支えた。

つまり、先生に触った。

それを理解した瞬間、背筋に冷たい汗が流れる。

九重先生は、心做しか具合が悪くなっている気がする。

もしかして、私に触れたから?

いやいや、そんな筈ない。

こんなに辛そうにしてるんだ、私に触れたなんて意識してないだろう。

大丈夫、きっと大丈夫だ!



「先生、私、誰か呼んできます!」



どうしていいか分からず、とりあえず誰か呼んでこようかと思い、踵を返す。



「行くな! たっ、頼む!! 行かないで!」



急に腕を掴まれたので、倒れそうになる。

手を伸ばした時にバランスを崩したのか、先生は椅子から落ちて床に座っていた。