午後の授業を終えて、帰る身支度をする。

そういえば、今日は委員会があったんだ。

私が所属する図書委員会は、大体、月に一、二回周ってくる、図書館の受付係の仕事がある。

だけど、今日はそれではなく、月に一度の会議だ。

どの委員会も同じ日に会議があり、その日は下校時刻が早まる。



「バイバイ、また明日!」



紗依子ちゃんと柚子ちゃんは、部活も委員会も入っていないので、ここでお別れだ。

すぐに集合場所の図書館へ向かう。

階段を登り、右へ曲がった。



「っ、痛!」



視線を上げると、私と同じように肩を押さえた男の子がいた。

顔から血の気が引く。

私は、自分から他人に触れるのが嫌いだ。

例え、それが不可抗力だったとしても。

思い出すのは、幼稚園の頃の記憶。



「うわっ、触るなよ! 燈花菌が着くだろ?!」



小さい子供というのは、純粋で、とても残酷だ。

たった一言で人がどれだけ傷付くか、理解できない。

今は、一度向こうから触れてくれると、安心してこっちから触れるようになったのだけれど。



「ごっ、ごめんなさい! 」



ぶつかってしまった男の子は、私が全力で謝ると、気にしないで、と言って去っていった。