先生へ、子守唄を。




『声か。試したことないなぁ、でも……』


先生は、なぜか言葉を詰まらせている。

もしかして、寝るのが怖いのを誰にも話した事が無いのだろうか。


『ご両親は、寝れない事を知ってるんですか?』


『父親は知ってるんだけど、俺に関心薄いから』


『そうなんですか……じゃあ、母親に伝えてみては?』


また、先生は黙り込んでしまった。

何かいけない事を聞いたのだろうか。


『俺が寝るのを怖くなった、理由を話すよ』


私が、話して大丈夫なんですか、と聞く前に先生は話し出してしまった。


『俺の母親はね、二年前に亡くなってるんだ。夜、俺が寝てる間に、事故にあって』


どう声をかければ良いのだろう。

そんなに辛い事を話させてしまった自分に、嫌悪感が湧いてくる。


『それだけじゃないんだ。俺が七歳の時、二つ下の弟が行方不明になって、まだ見つかってないよ。これも、俺が寝てる間に』


だから、大切な人が傍にいないと眠れないのか。

誰かが居なくなってしまわないか不安だから。

『先生、ごめんなさい。嫌な事思い出させてしまいましたね……』


『いや、俺から話したんだから、気にしないで。……って、もうこんな時間だ。明日も学校だし、早く寝た方が良いよ』


『先生は、やっぱり寝れそうにないですよね……あの、私で良かったら、起きて不安になったら、いつでも電話して下さい』


『ああ、そう言って貰えると助かるよ。それじゃあ、おやすみ』


私も、おやすみなさいと打ってから、LINEを閉じた。