音羽は歌い手にハマり、三年前からAltairのライブに欠かさず行くようになっていた。ライブに外れたこともなく、推したちをいつもいい席で眺められていたのだが、幸せだと思っていた時間は急に崩れた。

楽屋に招待され、音羽はAltairのメンバー全員からストーカーされていたことを知ったのだ。そしてスタンガンで気絶させられた。

「ここはどこなんだろう……」

音羽の胸に不安が渦巻く。部屋には窓がなく、外の音も何も聞こえてこない。見知らぬ部屋に一人でいることに音羽は怖くなってきてしまった。

誰かに来てほしい、と音羽が願っているとガチャガチャとドアの鍵に触れる音がする。そしてゆっくりとドアが開いた。

「あっ、起きてるじゃん」

そう言って入って来たのは、Altairのリーダーである南斗(なんと)だった。音羽は肩を震わせ、南斗から距離を取る。開けられたドアから次々にメンバーが入って来た。

「おっはよ〜、音羽!この部屋どう?音羽の好みのもの揃えたよ〜」