宴は夜が更けても終わることはなかった。あかりが地上と繋がった無菌室から解放された歓喜は、地下レストランの空気をいつまでも熱く震わせていた。
高級ホテルのような静謐さを誇るこの場所も、今宵ばかりは僕たちの祝祭会場だ。誰かが持ち込んだ高級な酒と、正男が調達してきた軽食。そこに、行き場を失った僕たちの人生が重なり合う。
「次は、秋生くんの番だよ!」
ニコルの明るい声に促され、僕はマイクを握った。僕の十八番は、いつだってミスターチルドレンだ。地下の防音壁が、僕の歌声を優しく包み込み、どこかへ消していく。かつて地上のカラオケボックスで感じた「周囲への配慮」なんて、ここには存在しない。あるのは、ただ自分の声を誰かに届けるという純粋な心地よさだけだった。
歌い終えると、次はあかねとあかり、それぞれとデュエットをする時間が訪れた。僕らは大原櫻子の『瞳』を選んだ。
あかねとのデュエットでは、彼女がこれまで抱えてきた孤独と、僕がこの地下で見つけた安らぎが、メロディの中で溶け合っていくようだった。そしてあかりとのデュエット。無菌室のガラス越しでは決して叶わなかった「同じ空間で歌を重ねる」という行為が、僕の胸を震わせる。
「……ねえ、秋生くん」
歌の合間、あかりが少し酔った瞳で僕を見つめる。彼女の吐息が近い。地上の世界では感染症を恐れて遠ざけられるその距離が、ここでは僕たちの絆を証明する唯一の指標だった。
喉が乾くと、僕は何度も水分を補給した。歌い、笑い、飲み、時にはあかりと寄り添いながら、地下という密室の楽園を謳歌する。
誰も僕たちを追い出さない。誰も僕たちを「病人」として憐れまない。
あかねの歌う声が響き、ニコルがそれを手拍子で煽り、南ちゃんが隣で笑っている。この地下のレストランで、僕たちはただの若者であり、愛し合う者であり、何者でもない自分たちでいられた。
地上の明日がどうなろうと知ったことではない。この地下のカラオケの音源が止まらない限り、僕たちの宴は永遠に続くような気がしていた。
高級ホテルのような静謐さを誇るこの場所も、今宵ばかりは僕たちの祝祭会場だ。誰かが持ち込んだ高級な酒と、正男が調達してきた軽食。そこに、行き場を失った僕たちの人生が重なり合う。
「次は、秋生くんの番だよ!」
ニコルの明るい声に促され、僕はマイクを握った。僕の十八番は、いつだってミスターチルドレンだ。地下の防音壁が、僕の歌声を優しく包み込み、どこかへ消していく。かつて地上のカラオケボックスで感じた「周囲への配慮」なんて、ここには存在しない。あるのは、ただ自分の声を誰かに届けるという純粋な心地よさだけだった。
歌い終えると、次はあかねとあかり、それぞれとデュエットをする時間が訪れた。僕らは大原櫻子の『瞳』を選んだ。
あかねとのデュエットでは、彼女がこれまで抱えてきた孤独と、僕がこの地下で見つけた安らぎが、メロディの中で溶け合っていくようだった。そしてあかりとのデュエット。無菌室のガラス越しでは決して叶わなかった「同じ空間で歌を重ねる」という行為が、僕の胸を震わせる。
「……ねえ、秋生くん」
歌の合間、あかりが少し酔った瞳で僕を見つめる。彼女の吐息が近い。地上の世界では感染症を恐れて遠ざけられるその距離が、ここでは僕たちの絆を証明する唯一の指標だった。
喉が乾くと、僕は何度も水分を補給した。歌い、笑い、飲み、時にはあかりと寄り添いながら、地下という密室の楽園を謳歌する。
誰も僕たちを追い出さない。誰も僕たちを「病人」として憐れまない。
あかねの歌う声が響き、ニコルがそれを手拍子で煽り、南ちゃんが隣で笑っている。この地下のレストランで、僕たちはただの若者であり、愛し合う者であり、何者でもない自分たちでいられた。
地上の明日がどうなろうと知ったことではない。この地下のカラオケの音源が止まらない限り、僕たちの宴は永遠に続くような気がしていた。
