夏休みということもあり、彼と初めて会うことになった。
中学生でお金もなく遊ぶ場所が思いつかなかったのが理由で、私の家が空いている事から私の家で会うことになった。
直接話したこともなく、初めてのデートで家っていうのはどうかとも思ったが一番ゆっくりでき、お金もかからないのも大きかった。

当日、私の家の近所の公園まで来てくれるということなのでそこまで迎えに行った。
公園に着くとそこには学校ですれ違うくらいでしか見なかったが、間違いなく彼が背を向けている状態で座っていた。
ただ私はとても困った。
なんて声をかけたらいいのだろう…。
今まで名前なんて呼んだこともない。
彼の事を周りの人は下の名前で呼んでいることを知ってはいたが、どうしたらいいかわからなくなった。
一応は恋人なんだし!意を決して私は彼の名前を呼んだ。
すると彼は私の方を向き立ち上がって近づいて来た。
公園から家まで歩いて5分程度だが、初対面の気まずさでとても長く感じたのを今でも忘れられない。
家に着くまで何を話したかほとんど覚えていないが、無事に家に着いた。
私の部屋に案内し、彼は床に、私は椅子に腰をかけた。
何を話したらいいか必死に考えていると彼から口を開いた。
「少しだけゲームやってもいい?すぐ終わるから。」
ホッとした。
慣れているカップルなら寂しいとか一緒にいるのになんでとか思うかもしれないが、その時の私には助け船でしかなかった。
「全然いいよ!終わったら声かけて。」

20分くらいだっただろうか…。
短かったような長かったような…。
私はその時間をひたすら携帯を見て気を紛らわせた。