「…」
琥珀が持ってきた服の山を見る。
この大量の服をこれから私が試着することを思うと私はげんなりてして肩を落とした。
まあ、制服でも服でも同じ女装な訳だし、こうなった琥珀は絶対一歩も譲らないだろうから諦めるしかないだろう。
面倒だったがもうやるしかないので私はとりあえず琥珀から渡された服を1着ずつ試着し始めた。
*****
それからいろいろな服を試着しては試着室のカーテンを開けて目の前でずっと立っている琥珀に見せた。
可愛い系、綺麗系、かっこいい系、etc。とにかくいろいろな格好をさせられた。
琥珀はカーテンが開く度に感想を言う。
「可愛い」「大人っぽいな」「似合う」等々。
「じゃあこれで」と疲れて適当に決めようとしたら何故か琥珀が「いやそれもいいけどこっちも着てみて」とまた服を渡されてまた服を着る、の繰り返しだった。
正直疲れたがこんな女の子みたいな経験したことがなかったのでこの着せ替えをどこかで楽しんでいる私もいた。
だが、そろそろ任務にも行かなければならないので本当に服を決めなければならない。
次に琥珀に渡されたワンピースを着る為に下は半ズボン、上はさらしのみになっている時だった。
目の前にゴキブリが現れたのは。