2度目の人生で世界を救おうとする話。前編






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私たちの準決勝の後に行われた琥珀対蒼の準決勝は前回同様蒼が僅差で勝っていた。
武と会場の外にいたので今回はどのような一戦だったのか実際には見れていないのだが、周りの生徒がそう話しているのが耳に入ってきた為、前回同様僅差だったと知ることができた。

そして現在。準決勝で負け、私の今日の出番はもう終わったので、私は他の生徒と同様に本日最後の一戦、武対蒼の決勝戦を2階席から見守っていた。


「紅」

「琥珀?」


すると急に後ろから琥珀に声をかけられた。琥珀は少し驚いている私なんてよそに丁度空いていた私の隣の席へ腰を降ろす。


「準決勝見た。少し見ない内に随分力がついたようだな」

「え?はは、そう?ありがとう。負けちゃったけどね」


相変わらず感情が読めない無表情で淡々と話す琥珀にへらりと軽く笑ってみせる。

外野から見ても力を出し過ぎていたのだろか?前回の今頃くらいの力の微調整って難しい…。


「武より上手に見えた」

「…最初だけでしょ」

「最初から最後まで」

「…気のせいじゃない?」


お互い表情は変えない。探るような瞳ではあるが無表情なままの琥珀と笑ったままの私。

琥珀も私がわざと負けたことを責めるつもりだろうか。いや、琥珀の性格でそれはないか。

琥珀は武ほど何かに直向きで一生懸命で努力家ではない。琥珀は間違いなく私たち次期当主の中で1番悪く言えば怠け者だ。
何事も省エネで頑張りたくない。必要最小限。だから私と同じように蒼との一戦もいい感じでわざと負けたのではないだろうか。

もしかして武と並ぶ努力家の私がわざと力を抜いたと思っているのならいきなり変わった私に探りを入れている、とか?

でも何故?