「「……」」
会場が先程の熱気が嘘かのように静まり返る。
私と武の攻防は外野から見て高度であり、あまりにも速すぎたのだろう。
彼らからしたら追えたのは私のチョーカーが壊れた事実だけ。
「しょ、勝者!冬麻 武様!」
会場と同じように一瞬惚けていた審判員が勝者の名前を叫んだ。
するとうおおおおお!と会場からまたあの熱気が戻ってきた。
「すごい一戦だったな!」
「さすが名家のお2人だ」
「紅様は負けてしまわれたがそれでも素晴らしい実力だった!」
「やはり一年とは言えあの2人は守護者に相応しい」
大きな歓声と共に私と武を称える声が会場一杯に広がる。
うんうん。100点じゃん、私。
負けたけど実力はしっかり知らしめた。もう言うことなし!
この結果に十分満足していた私だったが、それを私は顔に出すことはなかった。あくまで全力でやって負けたように、今までの私のように悔しがらないと。
「さすが武だね。今回はいけると思ったのに」
悔しそうに笑い、勝者である武に握手を求めた。
が、その手はバチンっ!と握手を求めた相手、武によって思いっきりはたき落とされた。
「え?」
なんで?
「…」
不思議に思って武を見れば、こちらを目一杯睨んでいる武が目に入る。
何故睨まれているんだ?



