2度目の人生で世界を救おうとする話。前編





「「……」」


会場が先程の熱気が嘘かのように静まり返る。
私と武の攻防は外野から見て高度であり、あまりにも速すぎたのだろう。

彼らからしたら追えたのは私のチョーカーが壊れた事実だけ。


「しょ、勝者!冬麻 武様!」


会場と同じように一瞬惚けていた審判員が勝者の名前を叫んだ。
するとうおおおおお!と会場からまたあの熱気が戻ってきた。


「すごい一戦だったな!」

「さすが名家のお2人だ」

「紅様は負けてしまわれたがそれでも素晴らしい実力だった!」

「やはり一年とは言えあの2人は守護者に相応しい」


大きな歓声と共に私と武を称える声が会場一杯に広がる。


うんうん。100点じゃん、私。
負けたけど実力はしっかり知らしめた。もう言うことなし!


この結果に十分満足していた私だったが、それを私は顔に出すことはなかった。あくまで全力でやって負けたように、今までの私のように悔しがらないと。


「さすが武だね。今回はいけると思ったのに」


悔しそうに笑い、勝者である武に握手を求めた。
が、その手はバチンっ!と握手を求めた相手、武によって思いっきりはたき落とされた。


「え?」


なんで?


「…」


不思議に思って武を見れば、こちらを目一杯睨んでいる武が目に入る。


何故睨まれているんだ?