能力の鍛錬にうってつけだ。



「…」



消えろ、煩悩。
今の私には強さだけが必要だ。

朱が私を好きでも関係ない。


私はこれからも強くなって最強をほしいままにして世界を救うんだ。

目の前の火に集中…。



『朱はアナタのことが好きでしょうね。そろそろ認知したらどうですか』

「…っ!」


ボウッ!!!!



いきなり聞こえてきた神様の呆れたような声に驚いて思わず手のひらからマックス火力の火を出してしまう。

あまりにも大きすぎるその炎が危うく寮に移って燃え上がりそうになったので心拍数が一気に上がった。



『神様ー!!!!!』



突然心臓に悪い内容で声をかけてきた神様に私は心の中で文句の気持ちを込めて叫んだ。


タイミングが悪い上に内容まで最悪だ。
こっちは今その煩悩を消し去ろうとしているところだったのに!



『何を怒っているのです。事実を言ったまでではありませんか』



もうこれ以上火災が起きる原因を作ってはならないと手のひらから火を消した私に今度はおかしそうに神様が話しかけてくる。


神様はあの日以来悩み続ける私にこうやって『朱は紅のことを異性として好きなんですよ』と何度も何度も伝えてくる。

心臓に悪い。