『琥珀は覚えていたのですね。アナタが〝神々しい〟と言ったあの初任務の時のマグカップを』
神様にそう言われて初任務の日、琥珀に連れられて行った可愛らしい雑貨屋さんでの出来事を思い出す。
「…」
…確かに言ったわ。このマグカップに対して〝神々しい〟て。
今と全く同じ状況で神様に突然話しかけられて周りから…特に近くにいた琥珀から見れば挙動がおかしくなったことを誤魔化す為に苦し紛れに言った私の〝神々しい〟発言が鮮明に思い出される。
『あれはもう半年ほど前の話でしたよ。やはり大切にされていますねぇ、紅。もうわかってきたのでは?』
神様の優しい声に前までならすぐに否定の言葉を吐いていた。
だが今はそんなこともできない。
もう半年も経てば十分にわかってしまったから。
私の周りの人間がどれほど私を大切にしていてくれていたのかを。
「…神々しいね。ありがとう。大切にする」
琥珀の家族愛のような深く優しい気持ちを感じながら微笑む。
すると琥珀は「ああ」と優しい目で私を見つめながら短く返事をした。



