神様の突然の登場のせいで琥珀から見れば私は数秒…いや下手したら数分は黙ってマグカップを見ていた人だ。
不思議を通り越して不審に思われても仕方ない。
「気に入った!すごく好みだったから見入っちゃった」
なので私は慌ててマグカップから視線を琥珀に移して嬉しそうに笑った。
「…よかった。それ神々しいとか言ってたもんな」
私の笑顔を見て琥珀もまた嬉しそうに小さく笑う。
普段はなかなか見られないその貴重な笑顔に私の心臓はドクンっと大きく跳ねた。
たまに見せる琥珀の笑顔には反則級の威力がある。
死人が出るぞ。
「…ん?」
神々しい?
琥珀の笑顔で一瞬聞き流してしまったが改めて先程琥珀が言った〝神々しい〟と言う変なワードが引っかかる。
琥珀のあの言い方だとまるで私が過去にこのマグカップに対して〝神々しい〟と言ったみたいではないか。
そんなセンスの欠片もないことを言った記憶は…
『だから先程言ったではありませんか。これはあの時のマグカップですよ、紅』
心当たりを探す為記憶を辿っていると神様がまた今度はおかしそうに私に話しかけてきた。



