嬉しい。
言葉だけでも十分嬉しいが、言葉だけではなく、わざわざ私の為にこんなものまで選んで用意してくれたのだと思うと自分でも驚くほど暖かい気持ちが胸いっぱいに広がる。
「中今見てもいい?」
「ああ」
嬉しい気持ちでいっぱいになりながらも紙袋から琥珀に視線を移せば、琥珀はそんな私に無表情のまま頷いた。
琥珀の返事を待って私は再び紙袋に視線を移すと紙袋の中から両手に収まるほどの箱を取り出す。
そしてそこから梱包を剥いで箱を開けた。
するとそこには可愛らしいマグカップが入っていた。
「…」
私はそれを手に取りまじまじと見つめる。
可愛らしいが至ってシンプルなマグカップに何故かとても見覚えがある。
どこにでもありそうだからだろうか?
それとも似たようなマグカップをもう持っているとか?
『これはこれは!あの時のマグカップですよ!紅!』
「…っ!」
謎の既視感に首を何度も傾げていると突然私の頭の中に神様の嬉しそうな声が響いた。
突然の神様の声に私は驚いて目を見開いたが声は何とか出さずにギリギリのところで我慢する。
我ながらよく我慢したと思う。



