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武と朱と共に寮に帰宅してから数時間。
辺りはすっかり暗闇に包まれ、夜になった。
食堂で朱といつものように夕食を食べ終えた私は特に何かをするわけでもなく自室で1人、ソファに座ってぼーっと過ごしていた。
そしてそんな私の耳にコンコン、と扉をノックする音が聞こえてきた。
「…」
朱かな?
おそらく扉をノックしたであろう人物、朱の姿を無意識に思い浮かべる。
朱は夕食後、結構な頻度でよく私の部屋にやって来る。私に用事があるから来るとかではなく、ただただ私と一緒に居たいから来るらしい。
可愛い弟だと思いません?
「どうぞー」
今日も朱が来たのだとすぐに察して、扉の方へは目も向けず、扉の向こうで私の返事を待つ朱に私はいつものように適当に返事をした。
「………………………………。…入るぞ」
変な間があった数秒後、遠慮気味に、そして朱にしては低い、予想とは全く違う声に私は驚いてビクン、と肩を揺らす。
朱じゃない!
この声は琥珀だ!



