『例え紅が正しくなくて悪になって世界から嫌われても俺だけは紅の側に絶対いるからな』
先程、真剣な表情で私にそう言った武の言葉が頭をよぎる。
未来に希望は持てないけれど、でもきっと今の武のこの言葉に嘘はない。
なので私は今だけ、この一時だけでもこの言葉だけは受け入れることにした。
今だけの幸せだと割り切って。
「兄さーん!」
そんなことを考えていると中等部の校舎の方から朱が私に声をかけてきた。
天使、またの名を朱がこちらに手を振っている。
高等部から寮への道中には中等部、初等部があるので私の姿を見つけた朱が私に声をかけたのだろう。
「朱!」
こちらに駆け寄って来る朱に私も笑顔で手を振り返した。
「兄さん!守護者任命おめでとう!」
私の元へ着くや否や朱は自分のことのように嬉しそうに弾けんばかりのキラキラな笑顔で私にそう言った。
もしかしてこれが言いたくて私を待っていたのか?
中等部の授業は高等部の授業より大体終わるのが早い。だから帰りにこうやって会うことなんて滅多にない。
狙ってでもいない限り。



